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Q&A <2008年>

Q核融合について 2
 お蔭様で運動量保存に関する疑問は解消したのですが、私の質問のしかたが悪かったこともあって、質量欠損のエネルギーが運動エネルギーに変換されるプロセスについてはいまだによくわかりません。
私が疑問だったのは、慣性の法則より、静止した物体が運動を行うためには、何らかの外力を受ける必要があるにもかかわらず、質量欠損のエネルギーが運動 エネルギーに変換されるプロセスにおいては、その外力がどこで生じているのかわからないということなのです。つまり、「質量が、原子核の組合せが変わるこ とによってエネルギーとして開放され」るときに質量欠損のエネルギーがどのようにして粒子に伝達され、それが運動エネルギーに変換されているのかというこ となのです。

ご質問の骨子を理解できず、すみませんでした。なかなか、難しいご質問ですが、少々の飛躍をお許しいただき、説明いたします。
  まず類似からです。物が高い場所から落ちる時、目に見える形で外力は働いていませんが、落ちれば落ちるほど速度が速くなります。坂を下る時も同じですね。これはご存知の通り、地球と物の間に働く引力があるからです。この引力が潜在的に持っているエネルギーを位置エネルギーと言い、位置エネルギーと運動エネルギーの総和は等しいことは力学でご存知かと思います。物が落ちる時に、位置エネルギーが運動エネルギーに変わるのです。
  ここから範囲を広げましょう。運動エネルギー以外の位置エネルギーのような潜在エネルギーをよくポテンシャルといいます。
  原子核や電子などには引力以外にも、電気を帯びることによって働く力や原子核の中の中性子や陽子をくっつけている核力というものが働きます。これらも同じように 見た目にみえませんし、運動していなく(速度がゼロ)とも潜在的なエネルギー、ポテンシャルを持っています。
  さて、核融合ですが、重水素原子核(陽子1個と中性子1個)と三重水素原子核(陽子1個と中性子2個)が核融合する時、一旦、ヘリウムの原子核、但し、通常のヘリウム(陽子2個と中性子2個)ではなく、陽子2個と中性子3個でできたヘリウムになるとお考えください。このヘリウムでは、核力による結びつき方が核融合前と変わるため、核力によるポテンシャルが変わります。その差が別のエネルギーになるのですが、まずはできたヘリウムが励起された状態になり振動を始めます。その振動により、一つの液滴が2つの液滴に分かれるようなイメージで、この場合、通常のヘリウムと中性子に分かれます。この際、核力のポテンシャルの差(実はこれが質量の差)によってヘリウムと中性子が加速され、運動エネルギーが与えられます。この説明は核分裂の場合にも用いることができます。
  さらに、類推を大胆にしますと、たとえばバネで押しつけあっている2つの物体が糊で固定され静止しているとします。その糊の接着力が弱くなってが剥がれると2つの物体はバネの力で逆方向に飛んでいきます。この場合外力が与えられたわけではありません。バネのポテンシャルエネルギーが運動エネルギーに変わった訳です。
  物が落ちる(あるいは坂道を下る)時に加速される様子は目の当たりにすることがでできます。これは引力がもたらすポテンシャルが運動エネルギーに変わる様子で す。同じように、目に見えない微視的なスケールで存在するポテンシャルが運動エネルギーに変わるとご理解いただけましたでしょうか?
2008年2月6日

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