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Q&A <2008年>

Q核エネルギーについて
私は中学生なのですが学校の宿題で出されいろいろ調べたのですが難しくよく分かりませんでした。なので以下のことを分かり易く教えてください。
  1. 核エネルギーが発生するしくみ(核融合と核分裂を使って分かり易く)
  2. 核エネルギー利用の良い点、悪い点 
お願いします。

ご質問ありがとうございました。宿題の締め切りはいつでしょう。答えが間に合わなかったらごめんなさい。
まず私たちの身の回りの物質は「原子」からできていることは知っていますね。
原子の種類は100以上あります。
原子は「原子核」と呼ばれるプラスの電気を帯びた重い粒子の固まりの周りを、「電子」というマイナスの電荷を帯びた軽い粒子がとり囲んでいる構造を持っています。
また原子核は「陽子」というプラス電気を帯びた粒子と、大きさはほとんど同じで電気を帯びていない「中性子」という粒子が固まってできています。
実は物質の性質は原子核が何個の陽子を持っているかで大体決まります。
陽子の数は原子番号と呼ばれています。たとえば鉄の原子番号は26です。
中性子の数は陽子の数とほぼ同数ですが、その数が異なる原子が幾つかあり、それらは「同位体」と呼ばれます。兄弟みたいなものですね。

一番軽い原子は「水素」です。原子番号が1で陽子1個だけでできています。
水素の同位体には「重水素」と「三重水素」があります。重水素は陽子と中性子がそれぞれ1個ずつ、三重水素は陽子1個に中性子を2個持っています。
陽子の数が増えると中性子の方が多くなり、たとえばウラン235という原子では陽子が92個に対して中性子が143個もあります。

面白いことに原子核は構成する陽子と中性子がある程度の数集まると落ち着いた状態になります。この状態を「結合エネルギーが小さい」と言います。要するに一緒にいることにストレスを感じない状態ですね。なにやら人間社会とよく似ています。
ですから原子番号の小さな原子核同士は一緒になって大きな原子核になろう(融合)とし、逆に大きな原子核は分裂してそれぞれが小さな原子核になろうとします。これがご質問の「核融合」と「核分裂」です。
前の状態よりも結合エネルギーが小さくなるのでエネルギーに余分が出ますからこれを放出します。これが「核エネルギー」です。このエネルギーは物を燃やす時に放出される「化学エネルギー」より遙かに大きいので、これを利用すればわずかの燃料で熱を出し電気を起こすことができます。これが「原子力発電」です。

それでは一番安定な原子は何か?と言うと実は鉄です。でも宇宙は鉄で満たされているわけではありません。核融合や核分裂を起こすには条件が必要です。

原子核の陽子と中性子の数のバランスが悪いと自然にその一部を放出することがありますが、これが「放射性線」で核分裂の一つの形です。
現在原子力発電所で使われているのはウランを使った核分裂です。地球上にあるウランのほとんどは中性子を146個持ったウラン238ですが、わずかに含まれる同位体のウラン235を使います。これに中性子を1個打ち込んでやると分裂して軽い原子核ができますが、この時に発生するエネルギーを利用しています。
面白いことにウラン235は真二つには割れず例えば原子番号92のクリプトンと141のバリウムになります。足して235になりませんね。残りは中性子2個として飛び出ます。この中性子が隣のウラン235を2個分裂させ、次には4個・・・というように次々と反応が起こります。これが連鎖反応です。このようにしていわば燃え広がっていくのです。

一方、軽い原子核をぶつけ合って核融合反応を起こすには何億度という高温状態を作り出さなくてはなりません。従って核融合は地球上では自然に起こることはありませんが、宇宙では太陽や星のエネルギー源なのです。太陽の中では水素同士が反応してヘリウムになる核融合反応が起こっていると考えられています。
地球上の生物は核融合エネルギーのおかげで生きていられるのですね。
私たちの研究所では地球上で核融合を起こす研究をしていますが、地上で太陽と全く同じ反応を起こさせるのは難しいので重水素と三重水素を使ってヘリウムを作る核融合反応を起こし、そのエネルギーを利用したいと考えています。


以上が核エネルギー発生の仕組みについての簡単な説明です。

核エネルギー利用の良い点としては、
1.わずかな燃料で大きなエネルギーを得られること
2.石油に比べて燃料の埋蔵量が多いこと
が挙げられます。特に核融合の燃料となる重水素は海水からとれますので、核融合発電が実現すれば人類は将来のエネルギー枯渇に悩むことは無くなります。

一方、核エネルギー利用の悪い点としては
1.燃料が放射性物質で取り扱いにくいこと
2.放射性物質を作ってしまうこと
が挙げられます。従って注意深く安全に運転管理をする必要があります。
これも核融合発電が実現すれば、現在の核分裂方式より発生する放射線のレベルはずいぶん低くなりますので、より安全な運転管理ができます。

これで質問の答えは終わりです。
同じ原子力でも核融合が核分裂より多くの長所を持っていることもわかってもらえましたか?
残念ながら核融合発電はまだ実現していません。
私たちの研究所では一刻も早く核融合が実現するよう、日々研究を進めています。
2008年2月6日

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