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Q&A <2008年>

Qプラズマ計測の一つに粒子計測があるとうかがったのですが、粒子計測ではプラズマのどのようなことを計測するのでしょうか。

 ご質問ありがとうございます。粒子計測ではプラズマの温度やプラズマの中に生まれている電場を測ります。これらについて以下にご説明します。

  プラズマは電子とイオンという電荷を持った「粒子」から出来ています。プラズマの温度が高いというのはこの粒子が大きな運動エネルギーを持つ(言ってみれば元気よく走り回る)状態を言います。核融合研究所ではこのような元気の良い粒子が逃げ出さないように強い磁場で粒子を閉じ込めることを研究しています。

  一方閉じ込められたプラズマの温度や密度などを私たちは知りたいわけですが、幸いにも(?)わずかな粒子は閉じ込められたプラズマから逃げ出します。そこでこの粒子を捕まえて、その運動エネルギーを測ってやると、それは粒子がプラズマの中で持っていたものですからプラズマの温度がわかります。

  逃げ出してくるのはイオンです。正確に言うとイオンが原子に変換されて逃げてきます。イオンは電荷を持っているので強い磁場で閉じ込められているのですが、プラズマ中に電荷を持たない原子があると、イオンはその粒子から電子をもらい自分自身が原子になってしまうことがあります。これを荷電交換反応と言います。(電子をとられた原子は逆にイオンになるわけです。)電荷を持たない原子になればもはや磁場には拘束されませんから、そのままプラズマの外に飛び出します。荷電交換反応は電子を交換するだけで互いの持っている運動エネルギーは変わりません。ですからプラズマの中にいた時と同じ運動エネルギーを持って飛び出してくるので、これを測定するとプラズマの温度を知ることが出来るのです。この計測法を高速中性粒子解析法(Fast Neutral Analyzing method, FNA)と呼んでいます。

  粒子計測には上記のようにプラズマから逃げてくる粒子を測るものだけではなく、外から定まった高いエネルギーを持つ粒子ビームをプラズマ中に打ち込む方法もあります。打ち込まれた高エネルギービームはプラズマと衝突して様々な方向に軌道を変えられますが、この変化を観測することによってプラズマの温度やプラズマ中の電場や磁場の細かな変化(揺動)を測るのです。たとえばプラズマの温度が高いと(プラズマ粒子の元気がいいので)高エネルギービームはより強く散乱されることになります。

  核融合研ではこの測定法の一つである、重イオンビームプローブ法(Heavy Ion Beam Probe method HIBP)と呼ばれている計測を行っています。プラズマはご存じの通り水素で出来ていますが、核融合研のHIBPは金のイオンビームを打ち込んでいます。金は重いので磁場があってもイオンのままでプラズマを突き抜けることが出来ます。ただしそのためには600万ボルトという非常に高いエネルギーが必要です。打ち込まれた金イオンはプラズマ中で電離が進むとそこで軌道を大きく変えて外に出てきます。この曲げられたビームを捉え、その細かな軌道変化を測ってやるとプラズマ中の局所的な電場や磁場の大きさやその時間変化を求めることが出来ます。ビームが電場で曲げられる方向は決まっていますのでそれとわかるのです。

  プラズマは荷電粒子の集まりです。そしてそれらは常に動き回っていますので、プラズマ全体では電気的に中性に見えても中では局所的に電場や磁場が生まれては消えています。この動きはプラズマの安定度の情報になりますので、これらを計測することは核融合研究を進める上ではとても重要なことです。様々な手段で計測を行っていますが、HIBPはこれを直接的に検出できる数少ない測定法の一つです。

 この他にも中性粒子ビーム(水素原子ビーム)をプラズマに入射し、先に述べ た荷電交換反応を起こさせたときに出る光を計測し、イオンの温度やプラズマの流れに関する測定をすることも行っています。こちらは粒子ビームは使いますが、計測方法としては分光計測と呼ばれるものになります。分光計測についても興味がおありでしたらまたご質問ください。
2008年9月8日

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