LHD

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Q&A <2009年>

Q
  1. 仮に臨界点に達したとして、どのようにエネルギーを取り出すのでしょうか。何故磁場をこのようにネジっているのか。想像すると中心に空間が出来るので、そこからエネルギーを取り出すためですか?
  2. ヘリカルコイルについて磁界の乱れは心配ないのでしょうか。例えば、磁気嵐、地軸の変位などの外部要因や供給電圧の変化や制御装置の故障など内部要因により、部分的に超伝導状態が崩れて、瞬時に核融合炉が破壊されるようなことは無いのでしょうか。

  1. エネルギーの取り出し方、磁場をねじる理由
    核融合反応で発生したエネルギーを熱に変換して水を沸騰させ、この時に発生した水蒸気でタービンを回して発電します。このように、発電方式そのものは火力発電所などで使用されている方法と何ら変わりはありません。
    将来の核融合炉で利用される反応は、重水素と三重水素による核融合反応です。この場合、重水素と三重水素が融合(合体)すると中性子とヘリウムイオンが発生し、核融合反応で生成したエネルギーは、この中性子とヘリウムイオンに受け渡されます。ヘリウムイオンは荷電粒子なので、磁力線に巻き付きながら運動し、そのエネルギーはプラズマを加熱することに使われます。一方、中性子は電気的に中性であるため、磁力線に巻き付くことなくプラズマから飛び出し、プラズマと容器壁の間に設置されたブランケットと呼ばれる機器に吸収されて止まります。この時、中性子が持っているエネルギーはブランケットを暖めることにより熱に変換され、その熱を利用して水を沸騰させます。
    大型ヘリカル装置(LHD)では、コイルをらせん(ヘリカル)状にねじって磁場を発生させ、ドーナツ型のプラズマを形成します。そして、このねじられたコイルの内側の空間にプラズマが生成されます。核融合反応によるエネルギーはこのプラズマで発生しますが、上述しましたように、そのエネルギーはプラズマの周辺に設置したブランケットで取り出されます。
    磁力線をねじる理由は、プラズマを逃がさないためです。荷電粒子(プラズマ)は磁力線に巻き付きながら運動し、磁力線に沿った方向には自由に動き回れるため、磁力線に端のないドーナツ形状の方がプラズマの閉じ込めに適しています。しかし、ドーナツに沿った単純なねじれのない磁力線構造では、磁力線に沿って高速に運動する荷電粒子は磁力線の曲がり等の影響を受けるため、プラズマはドーナツから逃げてしまいます。磁力線をねじるとこの現象が抑えられ、プラズマを閉じ込めることができます。
  2. 磁界の乱れが装置に及ぼす影響について
    “核融合炉が破壊される”とおっしゃられていますが、これはチェルノブイリ原発のような事故が発生することを懸念されているのではないかと推察いたします。しかし、このようなことは決して起こらないことをまずご説明します。
    前述しましたように、核融合炉においては重水素と三重水素のガスをプラズマの燃料として使用します。これらは外部から常に供給し続ける必要がありますので、このガスの供給を止めてしまえば、核融合反応による燃焼を即座に止めることが可能です。この点が、原子炉の中に燃料が固定されている既存の原子力発電とは大きく異なります。
    また、核融合反応を起こすようなプラズマをつくるためには、容器内を真空状態にする必要があります。磁力線のカゴに閉じ込められたプラズマは、この真空容器の中に形成され、プラズマを維持するには真空容器内を適度な真空状態に保つ必要があります。そのため、仮に容器が壊れて空気が入るとこの真空状態が悪くなり、プラズマは即座に消えてしまいます。また、何かトラブルが生じても、燃料以外のガスを過剰に供給して真空容器内の真空状態を悪くすることにより、即座にプラズマを消して核融合反応を停止させることが可能です。
    このように、核融合炉においては不測の事態が発生した場合には、燃料ガスの供給停止や非燃料ガスの導入によって、核融合反応を即座に停止させることが可能であり、また、仮に容器が壊れても、空気が入ることによって核融合反応は即座に停止してしまいます。
    そのため、核融合炉ではチェルブイリのような事故は発生しませんし、“破壊される”ようなことも起こりません。
さて、ご質問では次の2種類の要因による磁界の乱れの影響をお尋ねですが、それぞれ分けてお答えします。
  1. 自然界に存在する磁場などの外部要因による磁場の乱れの影響について
    自然界に存在する磁場は、核融合装置で利用する磁場に比べて非常に小さいので、これらの外部要因による磁場の乱れは全く問題ありません。例えば、岐阜県周辺での地磁気の強さは、約0.47ガウスで、これはLHDがプラズマを閉じ込めるのに使用している磁場(3万ガウス)の約6万分の1の大きさです。そのため、自然界に存在する磁場が多少乱れても、全く問題はありません。
  2. コイル電源や超伝導コイル等の不具合などの内部要因による磁場の乱れの影響について
    コイル電源や超伝導コイル等に不具合が生じて,プラズマを閉じ込める磁場を一定の値に維持できなくなった場合には,プラズマを消して,コイルに流れている電流を減衰させます。部分的にコイルの超伝導状態が破れた場合(常伝導転移、クエンチ)には,局所的な発熱を抑制するために、外部抵抗を利用して急速に電流を減衰させます。この操作は「クエンチ保護」と呼ばれ,超伝導コイルの健全性を保つために大切なものです。もしもこのクエンチ保護が正常に働かない場合には,超伝導コイルが損傷して修理が必要となることも想定されますが,超伝導コイルの持つ磁気エネルギーは熱容量に比べると小さいので,超伝導コイル以外に被害が及ぶこと、ましてや“破壊”されるようなことはありません。
2009年5月25日

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