LHD

Home > Q&A> Q&A2010

Q&A <2010年>

Q金属原子のイオン化エネルギーについて
  1. 金等の金属原子の原子核と、それに一番近い軌道の結合エネルギーすなわち電離エネルギー は、どの位でしょうか?
  2. また、金等の金属原子の原子核から、軌道電子を全部取り去って、金の原子核と、軌道電子を、すべて分離させるには、金原子1個当たりどの位のエネルギーが必要でしょうか?
  3. 1個のエネルギーが分かれば、たとえば1gのエネルギーは、1gに含まれる原子の個数を掛ければ、求まるのでしょうか?
  4. 金でも、銀でも、銅でも、上記電離エネルギーは、同じようなものでしょうか?

 
  1. 金(Au)原子の原子番号は79であり、原子核の周りに79個の電子が束縛されています。その金原子から78個の電子を剥ぎ取ると、最後に一個の電子が1s軌道に残り ます。その時の金はAu78+のイオンとなります。このような高電離イオンのこと を多価イオンと呼びます。この78価の金多価イオンの最後の1s軌道の電子を剥ぎ 取る(電離する)エネルギーは、93.255keVにもなります。つまりその電子を原 子核から引き離すのに十万ボルト近い電圧が必要となります。
  2. 実際に金の原子核、つまり金の裸の多価イオンを創り出すエネルギーの見積は非 常に難しいですが、単純に電離エネルギーの和と考えれば金の裸の多価イオン一 個が持っている内部エネルギー(つまりその多価イオンを創るのに必要な最低エ ネルギーと考えれば---)が推測できます。

    第一イオン化エネルギー:8.3eV
    第二イオン化エネルギー:19.6eV


    第七十八イオン化エネルギー:91515eV
    第七十九イオン化エネルギー:93255eV

    これらの和をとると517750eVとなり、500keV以上の内部エネルギーがあることになります。つまり金原子一個を裸の多価イオンにするのに0.5MeVものエネルギーが最低必要だと言うことです。
    ただし、金の79+の多価イオンを創り出す方法として電子ビームによる逐次電離を使う方法があります。金原子ないしはイオンをある空間に閉じ込めておきます。そこに第七十九イオン化エネルギー:93255eV以上のエネルギーを持つ電子ビームをその金イオンに当て続けていくと、金は1価,2価,3価---78価,79価と一つずつ電子が剥ぎ取られて最後には裸の多価イオンになります。これを逐次電離と言います。この方法でいけば、100keV程度の電子ビームがあれば生成可能です。ただしイオンをある狭い空間に閉じ込める特別な方法が必要ですが---。
  3. 単純に考えればそうなります。しかし実際に1gもの金の裸のイオンをある狭い空間に閉じ込めておくことは不可能です。Au79+の多価イオンになると、そのあまりにも高いクーロンポテンシャルにより、近くにいる他の原子やイオンから電子を剥ぎ取って捕獲してしまう確率が非常に高くなって、価数を79+から78+,77+-・・・とおとしてしまいます。しかも、お互いの多価イオン同士のクーロン反発で狭い空間に大量の多価イオンを閉じ込めておくことは、ほとんど不可能です。現在地球上で実現できる、どんなに残留ガスの少ない極高真空でも、そのような大量の裸イオンを閉じ込めておくこと、つまり創り出すことは不可能です。
  4. それぞれの電離エネルギーの値は違いますが、考え方はまったく同じです。
2010年1月29日

Home > Q&A> Q&A2010

Q&A

皆様からのご質問と回答

環境監視情報

重水素実験情報公開

e-mail情報配信登録

登録された方に核融合科学研究所の情報をメールにて提供します。

重水素実験について

市民説明会について