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Q&A <2011年>

Q放射性物質や有害物質について-1-
福島の原発で大変な事故が起こりました。核融合では、原子力発電所のように大量な放射性物質や有害物質は出ないと言っていますが、本当ですか?
出たとしても、放射性物質や有害物質は健康に害を与えることのない量ですか?
たとえどんなに安全を考慮しても、事故が起こった場合にリスクがあまりにも大きいというものならば、その技術を使用しないという選択があるはずです。
エネルギー供給のためとはいえ、原発推進技術者・研究者たちの罪は恐ろしいものだと思います。核融合研究施設が、原発のような危険はないのかととても不安です。福島のように土地を追われたり、被爆の危険にさらされながら生活しなければならなかったり、 危険だという情報が「直ちに健康に影響がない」と軽々しく伝えられたりしないでしょうか?

 まず、将来の核融合発電について回答いたします。
将来の核融合発電は、その仕組みが原子力発電とは全く異なります。ウラン燃料を使用している原子力発電所では、容器内に100トン以上の燃料を保有し、反応を抑えながら運転します。停止しても制御が必要なため、今回のような事故が生じた時、保有している燃料中の放射性物質が放出される可能性があります。また、使用済み燃料は、半減期(放射能の強さが半分になる期間)が数万年以上の高レベル放射性廃棄物となります。
 一方、核融合発電では、燃料としてトリチウムと重水素を用いて、プラズマ状態で反応させて、エネルギーを発生させます。燃料ガスは外部から少しずつ供給されるので、ガスコンロと同じように、燃料供給を止めるとプラズマは消えてしまい、反応は即座に停止します。また、過剰に燃料ガスを供給しても、電気が止まってもプラズマは消えてしまいます。そして、停止状態では容器内はカラなので、何も起こりません。また、燃焼後の排気ガスは無害なヘリウムガスです。
 燃料に使用するトリチウムは三重水素とも言い、水素の同位体ですが、弱いベータ線を放出する放射性物質です。ベータ線は原子核から飛び出す電子で、アルミホイルで止めることができます。また、皮膚で止まるため体内への被曝の心配はありません。そのため、きちんとした装備をすればトリチウム設備のすぐ横で作業ができます。トリチウムの半減期は約12年ですが、自然にも微量ですが存在し、体重60kgの日本人の体内にも約50ベクレル(数にして、約280億個)のトリチウムが存在しています。
 なお、重水素も水素の同位体ですが、放射性物質ではなく無害です。
 核融合発電所が保有するトリチウムは最大でも5キログラムであり、数十トン以上のウラン燃料を保有する原子力発電所に比べて桁違いに少ない量です。トリチウムが外部に放出されるような最悪の事故を想定しても、周辺住民が避難して、長期間立ち入り禁止となるような事態にはなりません。
 核融合発電所では、核融合反応によって中性子線が発生し、それによって装置が放射化します。しかし、原子力発電所のような高レベル放射性廃棄物は生じません。放射化物は低レベル放射性廃棄物で、ほとんどが運転停止後100年程度で放射能が減衰して、人体に影響を及ぼさない程度となり、新しい発電所の材料として再利用できるようになります。

 次に、ご質問の中の「核融合研究施設」が私どもの研究所(核融合科学研究所)を指していると思われますので、説明させていただきます。
 核融合科学研究所は将来の核融合発電の実現を目指して、プラズマの基礎的な学術研究を行っている国立大学の仲間です。プラズマの性能を上げて、その性質を詳細に調べることが目的で、核融合反応を起こすことが目的ではないため、トリチウムを使用する実験は行っていませんし、行う計画もありません。
 研究所ではプラズマの性能をさらに上げるために、重水素ガスを用いた実験を計画しています。重水素実験では、プラズマが点いている時だけ、使用する重水素ガスの1万分の1以下とごくわずかの割合ですが、重水素が核融合反応して、微量のトリチウムと中性子が発生します。しかし、回収と遮蔽により、環境には全く影響を与えません。地震等の災害が発生した場合も、自動的にガスと電気の供給が停止し、プラズマが即座に消え、放射線の発生も即座に止まります。重水素実験で発生するトリチウムの量は、一回の実験で最大1000万分の3グラムとその絶対量は微量であり、水素の仲間ですから水の形にして回収し、日本アイソトープ協会に引き渡します。このように、研究所の計画している重水素実験は環境に影響を与えることは全くなく、また、災害時にも安全が確保されています。
大災害や大事故が起きたとしても周辺市民に方が避難するような事態は起こりません。

2011年6月28日

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