LHD

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Q&A <2012年>

Q核融合実用化はいつごろとなるのでしょうか。
原子力発電と比較し事故のリスクは小さくて済むと思いますが如何ですか。

  1. 核融合の実用化について
     核融合エネルギーを実現するためには、燃料ガスである重水素と三重水素を原子核と電子がバラバラになったプラズマ状態にして、1億度以上の高温にする必要があります。トカマク型という方式では、1億度以上の温度を実現し、プラズマに入力するエネルギーと発生するエネルギーが等しくなるプラズマ条件をすでに達成しています。その結果を受け、現在、日本も含めた国際協力により、人類初のプラズマ燃焼をさせる装置ITER(国際熱核融合実験炉)をフランスで建設しています。
     私どもの研究所では、ヘリカル型という方式の大型ヘリカル装置(LHD)を用いた高温プラズマ研究を進めています。昨年度の実験では8千万度のプラズマ温度を達成し、目標とする1億度以上まであと一息というところまできています。将来の核融合発電所では1年以上におよぶ連続運転が必要ですが、前出のトカマク型装置ではプラズマを短時間しか保持することができず、プラズマの定常保持という課題が残されています。一方、ヘリカル型装置であるLHDでは、1時間におよぶプラズマ保持を達成しており、プラズマの定常保持に関する基本的な課題はすでに解決しています。そこで、LHDでは、さらにプラズマの性能を上げて1億度以上の温度を達成し、ITERで得られるプラズマ燃焼実験の結果を取り込むことにより、ヘリカル型の核融合発電所の設計を行う計画です。
     さて、核融合装置は規模が大きく複雑なため、建設に10年程かかります。LHDは直径が13m、高さが9mの装置で、製作に8年かかりました。現在建設中のITERは体積がLHDの30倍程度の装置で、製作には10年以上かかる予定です。さらにその後の発電できる装置は、LHDやITERの実験成果を受けて設計・製作することになりますが、製作に10~15年はかかると予測されます。LHD等で行われる高性能プラズマ実験などの研究期間も考慮すると、核融合による発電の実証は今から25~30年後となり、その後に、核融合発電所が普及していくと考えられます。予算が現在よりも大幅に増えると、研究が加速されて実用化への期間短縮が見込まれますが、装置の建設期間の短縮は数年程度が限度と考えられますので、その場合でも20~25年はかかると思われます。
     このように、核融合発電の実現への道筋が見通せる段階に達してきましたが、実用化までにはあと25~30年かかります。今後研究をより一層加速させ、一刻も早く核融合発電を実現できるよう、研究所は全力を尽くします
  2. 原子力発電と比較した事故のリスクについて
     原子力発電所では、燃料であるウランもしくはプルトニウムそのものが放射性物質であり、ある一定量集まると自発的に連鎖反応が起きてしまうので、制御棒を用いて連鎖反応の量を制御しながらエネルギーを取り出しています。燃料が燃えた後に残るのも高レベルの放射性物質であり、崩壊熱が発生するため常に冷却しておく必要があります。これらのことから、原子力発電における放射能に関するリスクとしては、燃料および使用済み燃料そのものが持つ高レベル放射能、それらの冷却機能が喪失した場合のメルトダウン等による放射性物質の露出、冷却が停止した際に崩壊熱による水の分解で発生する水素の爆発、その爆発による放射性物質の環境中への飛散、などが挙げられます。
     これに対して、核融合発電における放射能に関するリスクとしては、燃料に使う弱い放射性物質である三重水素と、中性子が容器に当たることにより放射化される金属構造物があります。核融合反応を起こすには、超高真空の容器の中にプラズマを閉じ込めるための磁力線のカゴをつくり、その中にごく微量の燃料ガスを入れて、マイクロ波等を用いてプラズマを作り、このプラズマを1億度以上に加熱することが必要です。この時、核融合反応が起きて燃焼している間だけ中性子が発生します。上記の条件が一つでも欠けると燃焼は停止し、中性子の発生も止まります。燃焼は燃料ガスを止めれば停止しますし、燃焼が停止中は容器内はカラなので何も起きません。三重水素からの放射線はエネルギーの低い電子であり、体に当たっても皮膚の表面で止まる程度です。そのため、三重水素が漏れても作業者は現場で作業ができます。構造物の放射化についても、現在、放射化しにくい材料を開発しており、これを使うことによって放射能を減らすとともに、冷却が止まっても崩壊熱によって溶けない設計ができます。使用する水素の量も少なく、水素発生による水素爆発の危険性もありません。また、核融合では燃料が燃えた後に出るのは、無害なヘリウムガスです。
    以上のように、原子力発電と比較した場合、核融合発電のリスクは非常に低いと評価することができます。
2012年9月3日

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