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Q&A <2012年>

Q原発ゼロの政策が実施されるとどのような悪影響が発生するのでしょうか?
  1. 原子力エネルギー研究部門全体にたいして
  2. 核融合発電研究部門に対して
  3. 原発プラント輸出産業に対して
私は原発に対して、安全性を確保し更なる研究を進めてゆけば安心・安全な重要な産業であると思います。

 お問い合わせありがとうございました。日本の行く末についての極めて重要な問題意識であると思います。一方、福島事故が教えたものとして、科学技術は完全ではありえないということに対する思慮が、こと原子力において、それを専門とする者も恩恵を受ける側の者も足らなかったことが挙げられます。原子力のあり方については、是非の二分論ではなく、さまざまな物差しで考え、判断し、実行に移すことが必要でしょう。
 原発ゼロの政策については、その実施の可否とともに、実施される場合もその時期により、影響の程度が大きく変わると考えられます。一方、現在、核融合エネルギーの実現に向けて研究開発が進められていますが、将来は核融合エネルギーが基盤エネルギー源として、原子力発電、火力発電等に取って代わることが期待されています。政策的なことや原子力一般については言及する立場にありませんので、ここでは主に核融合科学技術の研究開発という観点からお答えします。
  1. 原子力エネルギー研究部門全体にたいして 
     最初の核融合による発電を2040年までに実証したいというのが、世界の核融合研究者の目標です。その実証の後に商業発電が普及していきますので、核融合発電がエネルギー問題解決に直接的な役割を果たすのは21世紀後半となります。そのため、それまでの半世紀については、化石燃料による火力発電や原子力発電とその代替手段の組合せによって、エネルギー需要を支えていく必要があります。原子力エネルギーはその一つの選択肢ですが、ご指摘の原発ゼロの政策も含めて、どのような期間、どのような規模で運用するかの政策に大きな影響を受けます。そうした状況の中、その安全かつ効率的な運用および人材の育成・確保を可能とする原子力エネルギー研究は必要かつ重要であると考えます。
  2. 核融合発電研究部門に対して 
     核融合は、核分裂を利用した世間一般に言われる原子力エネルギーとは異なりますが、研究開発段階ということもあり、研究分野としては原子力エネルギーとして議論される場合があります。核融合は、核分裂による原子力発電に比べて、原理的に高い安全性が確保されますが、核融合の研究を進めるにあたっても、福島事故以後、より安全性を高める方向への重点的な取り組みが始められています。
     核融合による発電は従来型の原子力発電とは異なり、ウラン燃料を用いず、高レベルの放射性廃棄物を生まないこと、希薄な高温のガス状態(プラズマ)で起こる反応であることから連鎖反応はなく、運転条件の喪失は自動的な停止となる固有の安全性を持っていることなど、ウランの核分裂による原子力発電にはない安全性を有しています。また、燃料は海水から取れるため、事実上無尽蔵です。これらの優れた点はありますが、核融合条件となる1億度以上の希薄なガス(プラズマ)の制御や、核融合反応による熱の取り出しなどに解決すべき課題が残されています。このため、世界中でその実現を目指した研究が進められています。
     核融合が一定のエネルギー需要を担うまでには、研究開発も含めて、まだ数十年かかることから、今まさに直面している問題の早期解決には残念ながら貢献することができません。現状、核融合については、将来期待されるエネルギー源として、国から研究開発の必要性が認められ、予算がついています。核融合の実現にはまだ数十年かかりますが、今後のエネルギー事情を考えると、残された時間は極めて少なく、実現を急ぐ必要があります。このため、新たな原子力政策の中でも、原発ゼロの政策の可否とは別に、核融合開発研究の位置付けを明確にして、研究開発を加速する必要性を求めています。
  3. 原発プラント輸出産業に対して
     一般的には、国内に基盤がないものを海外に輸出することは困難であるし、国際的競争力も伴わないと考えられます。その意味では、原発ゼロ政策は原発プラント輸出産業にも大きな影響を与えることになると思います。また、原子力プラントに関連した先端技術産業に与える影響も大きく、原子力分野に限らず、我が国の産業技術水準の低下を招く恐れが懸念されます。
     核融合の研究開発においても、人類最初の核融合で燃えるプラズマ(1億度以上の高温のガス)を運転しようとする国際熱核融合実験炉(ITER)計画が国際協力(日米欧露中印韓の7極)で進められ、2020年の完成を目指してフランスにおいて装置が建設中です。ITERは国際協力で行われる実験装置なので、その成果は共有されますが、各極はその成果を基に、それぞれ実用化するための原型炉を建設することになります。その段階では、技術的な国際競争力が、市場経済や安全保障にかかわる外交の優位性に決定的な役割を果たすこととなります。このため、ITER計画での主導性の確保だけではなく、我が国内における原型炉に向けた研究開発を産業界を巻き込んで盤石なものとしておくことが、将来の核融合発電所を日本の基幹産業とするために必要です。
2012年11月30日

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